10名の膝蓋大腿部痛症候群と健常者を比較した外側支帯の超音波画像の特徴
Ultrasound characteristics of the lateral retinaculum in 10 patients with patellofemoral pain syndrome compared to healthy controls.
J Bodyw Mov Ther. 2013 Oct;17(4):523-9.
外側支帯の組織学的な変化は膝蓋大腿部痛症候群の患者で述べられている。膝蓋大腿部痛症候群患者の超音波検査による外側支帯の変化による情報はありません。
目的
健常者と膝蓋大腿部痛症候群患者の超音波所見とドプラー所見について述べます。
方法
10名の片側膝蓋大腿部痛症候群患者と10名の健常者の両膝の外側支帯の超音波画像とドプラー検査を実施しました。外側支帯の厚さはあらかじめ定義した3つの測定部位で行いました。加えて、欠陥申請を評価しました。
結果
両膝の外側支帯の厚さは症状のある側(3カ所の平均は4.0(1.4)mm,95%CI:1.2-6.8)と無症状側(3.7(0.8)mm,95%CI:2.1-5.3)で増大傾向にありましたが、コントロール群(3.0(0.1)mm,95%CI:2.8-3.2)と比較して統計学的有意さはありませんでした。
外側支帯のドプラー陽性信号は4名いたがコントロール群ではいなかった。(4/10vs0/10)
結論
これらの示す結果は膝蓋大腿部痛患者でドプラー検査と超音波検査によって血管新生が明らかで外側支帯の厚さが大きい傾向を示した。患者の症状側と無症状側の両側で超音波検査上、外側支帯が厚くなっており、膝蓋大腿部痛症候群の一側性より両側性という概念を支持した結果となりました。さらに膝蓋大腿部痛症候群の原因、治療のためのターゲットとなる外側支帯の役割を解明する 調査が必要です。
《感じたこと》
慢性的な膝蓋大腿部痛症候群では組織肥厚や慢性的な炎症が持続して起きていることが推測される。組織肥厚がやはり病態には重要なものと思われるが日本の文献は報告が少なく、英語論文抄読の必要性を改めて感じた。客観的指標となる超音波エコーは有用だと思う。自分も臨床研究の途中であるが評価方法が似ておりとても勉強になった。