hirokki13のノート

英語論文抄読のまとめ

TKA術後の大腿四頭筋とハムストリングスの筋力推移 ―メタアナリシスー

Serial Changes of Quadriceps and Hamstring Muscle Strength Following Total Knee Arthroplasty: A Meta-Analysis

 

 

Moon YW, Kim HJ, Ahn HS, Lee DH:Serial changes of quadriceps and hamstring muscle strength following total knee arthroplasty:A meta- analysis. PLoS One 2016:11

 

要約

このメタアナリシスは術前からTKA術後1年間の大腿四頭筋ハムストリングスを含む大腿筋群 の連続的な変化の分析をすることを行った。TKA側と対側の健常側で大腿四頭筋ハムストリングスの等速性収縮筋力の比較を行う研究がこのメタアナリシスに含まれた。

このメタアナリシスに5つの研究と7つのコホートが含まれた。

 TKA側と対側の大腿四頭筋ハムストリングスの筋力の平均値の差は術後3ヶ月で最も大きかった(大腿四頭筋26.8N∙m, ハムストリングス12.8N∙m, P<0.001),しかし、術後6ヶ月で術前の数値と近くなり(18.4N∙m, 7.4N∙m P<0.001)、1年間改善がみられた(15.9N∙m,4.1N∙m P<0.001)。大腿四頭筋ハムストリングスの変化は術前と比較して9.2Nと4.9Nで、それぞれ術後3ヶ月後と比べ有意差があった(P=0.041)が、6ヶ月後と1年後では大きな違いが認められなかった。術後、1年間の期間内で3ヶ月が一番筋力が低く、術前のレベルになるには6ヶ月要したが、対側の筋力までは到達しなかった。術前と比較してTKAと対側との違いは3ヶ月後のみであった。なぜなら術後3ヶ月後の大腿四頭筋の筋力低下はハムストリングスの筋力低下より有意に大きかった、TKAの早期リハビリテーション大腿四頭筋の筋力に焦点を当てなければならない。

 

《感じたこと》

TKA術後の筋力推移は6ヶ月目で術前と同レベルになるということであったが、自分の病院で調査していると半数程度は1ヶ月目には術前筋力を超えている症例がいる。ここで、術前と比べて術後に改善する症例の傾向など細かく調べる必要がありそう。そうなれば術前リハビリや術前評価は必須になってくると思う。痛みに関しては鵞足部痛なのか滑膜の痛みなのか、半月板の痛みなのかによって、筋出力に違いは出ると思われる。