hirokki13のノート

英語論文抄読のまとめ

膝蓋大腿関節痛症例の内側・外側支帯の厚さ:症例対照研究

Medial and Lateral Patellofemoral Joint Retinaculum Thickness in People With Patellofemoral Pain: A Case‐Control Study

 

 Journal of Ultrasound in MedicineVolume 38, Issue 6

 Simon Lack PhD  Luke Anthony iBSc  James Noake MD  Kay Brennan MD  Bairu Zhang PhD Dylan Morrissey PhD

 

First published: 24 September 2018

 

目的

膝蓋大腿関節痛の有無の両方で超音波エコーを使用して、外側・内側支帯の厚さを測定し、症状の期間や機能との関連を評価する。

方法

32膝(膝蓋大腿関節痛の症状のある16膝と無症状の16膝)の内側・外側膝蓋大腿関節の支帯の厚さを超音波のBモードで膝蓋骨辺縁0.5cm 1.0cm 1.5cmを測定した。膝蓋大腿関節痛を有している方はKujalaスケールを行い、両グループで片脚スクワットの評価を行った。双方向性の分散分析で全体的な傾向を判定し、それぞれの測定値の差や大きさをコーエンdで効果量を算出した。

結果

2つのグループで年齢、身長、体重は一致した。コントロール群との比較では膝蓋大腿関節痛を有している方で外側(P=0.03)・内側支帯(P<0.01)は厚い傾向にあった。支帯の厚さとKujalaスケール、症状を有している期間、片脚スクワットの間に相関は認められなかった。

Kujalaスケール−支帯の厚さ

外側:r = 0.106 [0.5 cm], –0.093 [1 cm], and –0.207 [1.5 cm]

内側:r = 0.059, 0.109, –0.219

症状を有している期間−支帯の厚さ

外側:r = 0.001, –0.041, 0.302

内側:r = –0.027, –0.358, –0.346

片脚スクワット−支帯の厚さ

外側:r = 0.051, 0.114, 0.046

内側:r = –0.119, –0.292, 0.011

結論

コントロール群と比較した膝蓋大腿関節痛を有している症例の外側・内側支帯の厚さの増加は、膝蓋大腿関節痛の原因に関連する可能性のある構造変化を示した。

支帯の厚さと症状期間、または機能の間に統計学的に有意な相関関係はなかった。膝蓋大腿関節痛のある症例の構造と機能の間の関連性はないことが示された。

 

KUJALAスケール

1足を引きずる 2補助 3歩行距離 4階段 5スクワット 6ランニング 7ジャンプ 8膝屈曲の痛み 9痛み 10腫脹 11有痛性の異常な膝蓋骨の動き 12大腿部の萎縮 13屈曲制限の総合評価

《感じたこと》

関節痛を有している方は肥厚を起こしているとのデータは間違いなさそう。

今回の研究では部分的な支帯という部分的なところと比べて質問紙表や多関節関連のスクワットと大きな括りとなっているところが気になった。大腿四頭筋筋力や純粋な屈曲可動域、屈曲時の膝蓋骨移動距離など細かな機能との比較においての研究もみてみたいと感じた。支帯が肥厚するのか、支帯の下にある疎性結合組織の滑膜が肥厚しているのか気になった。