人工関節置換術後1年後の堅さの症状は機能アウトカムの悪化と患者満足の低下に関係する
Increased symptoms of stiffness 1 year after total knee arthroplasty are associated with a worse functional outcome and lower rate of patient satisfaction
Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy
April 2019, Volume 27, Issue 4, pp 1196–1203 | Cite as
https://link.springer.com/article/10.1007/s00167-018-4979-2
目的
TKA後の堅い膝は有意な病的状態の原因となる。しかし、手術後リスクの高い患者を特定するデータはあまり見当たらない。リスクを分析することで治療の選択を行うことができる。
方法
関節形成を行なったとされるデータベースから取ってきた初回TKA術後の2589例の後ろ向きコホート研究となる。患者は術前、術後1年にそれぞれSF 12スコア(QOL指標)とWOMAC(膝機能指標)を収集。加えて1年間で患者満足度を評価。1年でWOMACの堅さスコアが悪くなった患者は「増加した」堅いグループと堅くないグループと定義されました。
結果
術後1年経過の129例(5%)は堅さ症状が有意に増加し、堅くない膝の症例(2460例)と比べて疼痛、WOMACスコア、SF12の改善は有意に少なかった。患者満足度は増加した堅い膝グループで有意に低かった。ロジスティック回帰分析より男性、肺疾患、糖尿病、腰部痛、および術前堅さスコア44以上は堅さ増加を有意に予測していた。
結論
TKA術後、堅さ症状が増加する症例は機能アウトカムは悪く、低い満足度となるリスクがあるため術前より通知するべきである。
《感じたこと》
TKA後、線維性変化のある症例は満足度が低下していることは予測されるが、予測因子は新しい発見があった。腰部痛や肺疾患がどのような生理で線維性関節症になるのか気になった。
肩関節周囲炎の危険因子に糖尿病があるため、組織の循環という面では肩、膝ともに理学療法において重要であることがわかる。