堅い膝の原因と治療法
THE STIFF KNEE: CAUSES AND CURES
Published Online:21 Feb 2018
https://online.boneandjoint.org.uk/doi/abs/10.1302/1358-992X.97BSUPP_1.CCJR2014-102
TKA後の硬さは患者の5〜30%の間で発生する一般的な問題です。
硬さは可動域の範囲によって定義されており、ADLに影響する。
最近、国際的なコンセンサスで定義づけられ、軽度、中等度、重度と分類されています。
屈曲は90-100°、70-89°、70°以下。伸展は伸展制限が5-10°、11-20°、20°以上となっています。
硬さは骨性、軟部組織、人工物のブロックなど二次的に動きを制限します。
膝の動きの制限はコンポーネントの回転不良、伸展ギャップ、大きいサイズのコンポーネントによる屈曲の硬さ、増殖した線維性組織、残存している後方骨棘、異所性骨化によって起きます。
感染は膝の可動性を徐々に制限するため常に考えておく必要がある。
その他の機械的な原因以外のケースではCRPSや運動恐怖症も制限因子となる。
膝コンポーネントの回転異常を考慮する場合は断面イメージとレントゲンによる硬さを評価するべきです。
金属抑制MRIは線維化の程度と前方、後方の区画における位置を定量化します。
感染除外に関しては関節吸引もしくは炎症マーカーを表示します。
関節線維症と術後線維症は術後異常な瘢痕形成に関与し、可動域制限を引き起こします。
関節線維症の原因は多因子に渡るものと遺伝的要因も可能性としてある。
現在の研究は分子的特性に焦点を当てている。その研究によって患者のリスクを防げるかもしれない。
加えて、線維症とその再発を予防できる薬物(抗炎症薬、コルチコステロイド、コルヒチン、生物製剤)および低容量の放射線の使用を含む治療的介入が研究されています。
堅いTKAの早期治療は理学療法と麻酔下によるマニュピレーションです。
マニュピレーションは3ヶ月以内で実施することが最も効果的ですが6ヶ月以内でも著しい改善ができます。
6ヶ月経過している堅いTKAでは関節鏡もしくは手術が推奨される。
関節鏡による癒着剥離術は1年後のTKA指標を改善させることができる
関節鏡による癒着剥離術とマニュピレーションの両方の治療効果(通常両方とも実施)は平均30°改善します。
オープンによる癒着剥離は改善が乏しい結果となっています。しかし現在の補助療法は生物学的に加えて線維症の根底にある力学的なものを取り込んだ臨床成績により改善する可能性があります。
人工関節の位置異常や堅いことによる再置換術は転機として定まっていません。しかし最近の研究では20°の関節可動域の拡大や全体的な膝機能の中等度の改善が報告されています。
TKA後の堅い膝の原因は患者や外科医、手術後の因子が複雑に関係しています。
膝全体の堅い膝の根本的な原因の正しい診断は治療結果を最適にするために不可欠です。
術後線維症に寄与する生物学的危険因子と経路を最もよく予防したり治療できる方法についてはさらなる研究が必要です。