hirokki13のノート

英語論文抄読のまとめ

TKA症例のアウトカム指標の改善によって活動行為の客観的指標の改善は相関しない

Improvements in Objectively Measured Activity Behaviors Do Not Correlate With Improvements in Patient-Reported Outcome Measures Following Total Knee Arthroplasty

 

The Journal of Arthroplasty

Volume 35, Issue 3, March 2020, Pages 712-719.e4

 

要約

背景

活動を監視することは私たちの能力、TKA術後の患者の客観的な身体活動量の新しい側面を加えた。この研究目的は座位、立位、足踏みに費やす時間がTKA術前後のPROMs(患者報告アウトカム評価)と関連するかどうか評価することです。

方法

49名の男性と女性(62.8±8.6歳、BMI33.8±7.1kg/mm2)の初回TKA症例で術前と6週間もしくは6ヶ月後にactivPAL(3日以上)のデータとPROMsは取得した。患者記録の症状は痛み、柔軟性、膝機能を膝損傷と変形性膝関節症のアウトカムスコア(Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score:KOOS)とオックスフォード膝スコア質問表(Oxford Knee Score questionnaires:OKS)によって得られた。

結果

KOOS(80.1±16.3→41.6±6.5 P<0.001)とOKS(12.0±9.8→17.7±22.8 P<0.001)の平均値は術後6ヶ月後で改善しました。歩行時間は術前から6ヶ月後には増加が認められました。(平均値[95%信頼区間]min/day) (79[67-91]分/日)→(101[88-114]分/日 P=0.006)

立位時間と座位時間は術前と6ヶ月後で変化がありませんでした。立位((318 [276-360] →321 [291-352], P = 0.782)。座位(545 [491-599] →509.0 [459.7-558.3], P = 0.285)。参加者の歩数(2559 [2128-2991] →3515 [2983-4048] steps/day, P = .001) と歩数時間(31 [30-34] to 34 [33-35] steps/min, P < .001)は術前と比べより多くなっていました。PROMsの中の活動行為と変化の間で関連は認められませんでした(P>0.05)

結論

自己申告による膝の痛みや機能の改善が認められたにも関わらず、これらの変化は座位活動の客観的指標の上昇には至らなかった。

 

《感じたこと》

痛みが原因で活動量が低下する→痛みが減ると確かに歩行時間は増えるが、座位の時間は増えなかったとする報告。いろいろなことに当てはまることで、動かない理由を探している可能性も考えられる。活動量にはactivPALを使用しており、信頼性のあるデータと思われる。歩行は増えているが立位、座位が増えておらず、純粋に膝機能をよくするだけでは活動量に結びつかない可能性がある。心理的な行動変容へのアプローチが必要になるのかな。。ナッジとか?

 

 

※activPAL:ヒトの活動状況(座位・立位・歩行)を長期間,連続的に測定できる身体活動量計(傾斜計)である。特にSBを精度良く測定できる機器として国際的に知られている。

※KOOS:症状、こわばり、痛み、日常生活、スポーツおよびレクリエーション活動、生活の質といった尺度。