hirokki13のノート

英語論文抄読のまとめ

思春期のMPFLを中心とした痛みに対する関節鏡での外側支帯のリリース 

Arthroscopic Lateral Retinacular Release in Adolescents With Medial Patellofemoral Ligament-centered Knee Pain

Blackman, Andrew J. MD; Smith, June C. MPH; Luhmann, Scott J. MD

 

Journal of Pediatric Orthopaedics: April/May 2016 - Volume 36 - Issue 3 - p 268–273

 

背景

MPFLは一般的に思春期の膝前部痛原因因子として関係するとされている。この研究の目的は MPFLを中心とした難治性の痛みに対してのALRR(関節鏡による外側支帯のリリース)の臨床成績を報告し、手術の不成功因子、予後不良因子を明らかにすること。

方法

ALRRを受けた全ての患者を特定するために1人の外科医のデータベースを参考にした。膝蓋骨の不安定性もしくは一般的な膝の前部痛ではなくMPFLの痛みに対してALRRを行った症例で最低12ヶ月間の追跡期間を基準とした。全ての症例で手術前に保存的治療を行ったにも関わらず慢性的なMPFLを中心とした痛みを持っていた。最初の結果としてIKDC(膝評価用紙)による主観的スコアと更なる手術の必要性、一般的な脛骨の骨切りが含まれていた。

結果

71人の88膝(女性66名、男性5名:平均年齢15.7歳(8.4-20.2歳))となった。平均的なフォローアップ期間は59ヶ月間(12-138ヶ月)。手術前平均IKDCスコアは41.9(18.4-67.8)。一方で手術後のIKDCスコアは77.8(11.5-98.9:P<0.01)となった。術後IKDCスコアは悪かった。Sulcus angleが134°以下は134°以上よりも手術後のIKDCスコアが悪かった。(69.9±22.1vs82.0±12.5 P=0.04)。術前IKDCが低い症例は手術後のIKDC改善に負の相関を示した(r=−0.40, P<0.05)。17膝(19.3%)で持続した症状の結果、骨切り術を行った。最終的に骨切り術を必要とした症例は必要のない症例よりも若く(14.8±1.5vs15.9±2.1 P=0.04)、術前の平均Blackburne-Peel ratio比が低かった。(0.95±0.25 vs. 1.11±0.24; P=0.02)

結論

この研究で難治性のMPFLを中心とした痛みに対してALRRを行った症例の臨床成績は有意な改善を示したことを平均5年間のフォローアップによって証明した。転機不良や手術の効果がなかった症例は手術前のIKDCが低かったり、若い症例であったり、術前Blackburne-Peel ratioが低く、sulcus angleが134°以下であった。結果は前向きに記録されなかったが術後60ヶ月未満のIKDCスコアの平均は60ヶ月以上のスコアと変わりなかった。