hirokki13のノート

英語論文抄読のまとめ

ラット関節拘縮モデルの固定化による低酸素状態とTGF-β1過剰発現による皮膚線維症誘発の現象と進行

Development and progression of immobilization-induced skin fibrosis through overexpression of transforming growth factor-ß1 and hypoxic conditions in a rat knee joint contracture model

 

Journal Connective Tissue Research  Volume 58, 2017 - Issue 6

 

目的

この研究の目的はラット関節拘縮モデルの病理と皮膚線維症の不動化のメカニズムを調査すること.

方法

ラットは無作為にコントロール群と不動化群に分けた.不動化群は1,2,4週間固定を行った.それぞれ固定を行った後,皮膚を分析した.皮膚線維の結合組織と脂肪細胞の領域や肥厚程度の測定を行い評価した.筋線維芽細胞はanti-α-SMAマーカーを用いて免疫組織科学的調査を行った.TypeⅠ,typeⅢコラーゲン,TGB-β1,HIF-1αの遺伝子発現レベルはRT-PCRによって評価された.

結果

固定1週間では 固定グループの結合組織の面積は著名な増加が認められた.Type1,typeⅢコラーゲンは長期の固定によって有意に増加した.より多くのα-SMA陽性細胞が,2,4週間固定グループにみられた.固定グループのTGF-β1 mRNAの発現レベルは1週固定後に発現した.対称的にHIF1-α mRNAは2週間固定にて増加し,4週間後の方がより多く増加がみられた.

結論

これらの結果は固定化がtype1,typeⅢコラーゲンの集積に伴う皮膚線維症を誘発することを示唆している.1週間の固定後,TGF-β1の増加によって不動化を引き起こす.その上,筋線維芽細胞のHIFが2週間の固定後より増加する.

 

《感じたこと》

今までは低酸素誘導因子→コラーゲン蓄積と理解していたけど,この報告では反対でコラーゲン蓄積が起きて低酸素誘導因子が増加するといった内容であった.まずは不動化によるコラーゲン蓄積をさせない結合組織の動きを早期から取り入れていくような運動療法の裏付けになるものではないかと感じた.

 

TGC-β1(トランスフォーミング増殖因子~β1)

線維芽細胞の形質転換を促進する因子として命名.現在は多くの細胞に対しての強力な増殖抑制因子として明らかになっている.細胞の分化・遊走・接着に関与.

骨芽細胞の増殖やコラーゲンのような結合組織の合成・増殖を促進する一方で上皮細胞や破骨細胞の増殖に対しては抑制的に作用することが報告されている.

 

HIF-1α

低酸素誘導因子.酸素供給が不足した際に誘導されてくるタンパク質であり遺伝子の転写を更新させる因子