hirokki13のノート

英語論文抄読のまとめ

無症状の滑膜炎と腱付着部炎の超音波検査による検出:臨床的な筋骨格を除いた乾癬患者の層別化の可能性

Ultrasonographic detection of subclinical enthesitis and synovitis: a possible stratification of psoriatic patients without clinical musculoskeletal involvement

 

Clinical and Experimental Rheumatology 2019; 37: 593-599.

 

目的

乾癬患者の関節内・関節外の炎症性病変や構造上の損傷を超音波検査にて有病率を評価するとともに臨床的特徴と超音波検査による病変要素の間に相関があるのかを評価する。

方法

筋骨格系の症状のある方を除いた乾癬患者と健康対照群を抽出しました。すべての患者から盲検下で42関節、12腱付着部、32腱の超音波検査を行い入手しました。活動性の滑膜炎はパワードプラーで1以上とグレースケールで2以上として明確にしましたが、活動性の腱付着部炎はグレースケールにて腱付着部の低エコーと腱付着部のパワードプラーの兆候(骨挿入から2mm以下)で確認しました。

結果

40例の乾癬患者と20例の健常対照群が含まれました。総合計は2516関節と712腱付着部が評価されました。活動性の滑膜炎は乾癬患者の11/40名(27.5%)に見つかり、健常者は0/20名(P=0.01)となりました。グレースケール2以上の滑膜炎患者は健常者より乾癬患者で頻度が高くみつかりました。[34/40 (85.0%) and 11/20 (55.0%) respectively; p=0.024]

活動性の腱付着部炎は乾癬患者のみ見つかりました。有病率は20.0% (8/40) (p=0.04)。乾癬患者と健常者の間で腱鞘炎もしくはパラテノン炎の有病率の有意差はみられませんでした。乾癬患者の群では動性の滑膜炎に関して年齢との相関がみられた(P=0.03)と同時に腱付着部炎では男性とPASIスコア(皮膚の状態をもとに点数化する評価)では独立して相関がみられました(p=0.05 and p=0.034, respectively)。

結論

活動性の腱付着部炎と滑膜炎は無症状性の乾癬性関節炎を評価するのに役立ちます。これは乾癬患者をより適切に層別化するための関連する臨床的ステップを表す可能性があります。

 

※乾癬性関節炎:乾癬患者の6-42%に発症する炎症性の関節炎

 

《感じたこと》

以前担当した症例が手術後著明な拘縮を起こし、内視鏡やオープンでの癒着剥離術を行った。その際、滑膜肥厚が著明に認められたが、手術の影響だけでなく原疾患(乾癬患者症例)も影響している可能性があったんではないかと感じた。日本ではあまり乾癬患者と関節炎は言われていない気がするが注意する必要があると感じた。